福田進一(6)
2008-07-25


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こんにちは。福田進一です。

「せんくら」は今まで、ソロ・リサイタルと、長谷川陽子(チェロ)さん、デュオ・プリマ(ヴァイオリン・デュオ)とのアンサンブルを聴いていただいてまいりましたが、ギタリストの全てのレパートリーは、この他にはアンサンブルを拡大した室内楽、オーケストラを従えてのコンチェルトということになるでしょう。
コンチェルトの定番は誰もがご存じで、ギターファンならずとも常に人気協奏曲のトップクラスに名前を連ねる「アランフェス協奏曲」。私も多分、すでに100回以上は演奏してきたと思います。
でもいつまでも「アランフェス」一曲だけではだめじゃないか!(力が入りすぎか、、、)と、ギター界の巨匠レオ・ブローウェル氏に新作のコンチェルトを委嘱しました。それから何年か、、ついに完成して、先月ドイツで世界初演をしてきました。全曲40分にも及ぶギター協奏曲最大規模の作品で、フル編成のオケ(ライン州立響)をバックに公演は大成功。また、7月にはスペインでコルドバ管弦楽団とブローウェルの指揮により再演も行い、満場の聴衆からブラボーとスタンディング・オーベーションを頂きました。足の不調にもめげず大熱演のマエストロ・レオに心から尊敬と感謝の念で一杯です。
いつか日本でも「コンチェルト・ダ・レクイエム」を弾ける日が来ればと願っています。

ちょうど5月のコブレンツでの世界初演の時の批評(原文ドイツ語)和訳が出来ましたのでご紹介します。
*しかし写真はコルドバ管とのリハーサル風景です。

「世界初演の音楽の夕べ
ライン・フィルハーモニーとギターの英雄たちの見事な調和

なんという(素晴らしい)音楽の夕べであったことだろう。選び抜かれたギターの英雄たちと、卓越したライン・フィルハーモニーオーケストラによって、最高の3時間が奏でられた。その響きは、明晰かつ魔力的なラスムス・バウマンの指揮によって、これ以上ないよいものとなった。コブレンツ・ギターフェスティバルの“ギターとオーケストラの金曜日の夕べ”は、ライン・モーゼル・ホールに集まった500人以上の聴衆を魅了した。
(中略)
なんといっても、この“ギターの夕べ”の白眉は、この宵の真ん中に演奏された、レオ・ブローウェルの“Concerto da Requiem”の世界初演である。初演の前にブローウェルは、SMS(携帯メール)で成功を祈るメールを送ってきた。曲の終わりが近づいた頃には、聴衆は、3楽章からなるこの作品が今世紀でもっとも重要で刺激的な「音楽の創造物」の一つになるであろうことを確信した。ブローウェルは、Sterben(死に至る過程:生に属する)とTod(死:死んだ状態)を主題にした。このレクイエムは、ギターを熟知した作曲家でもあった故武満徹のために書かれたもので、ブローウェルが特に50年代と60年代に表現した要素が詰まっている。
ソリストの福田進一は、死に対する怒りと無力感の間で翻弄される感情を、オーケストラと共に印象的に表現した。(曲は)シンフォニックなアウフタクトで始まり、次にティンパニの連打を伴う和音が続いた。メランコリックなメロディの砕片が、くずおれそうな和音構造と出合う。熱狂的なギターソロを、この世の最後を暗示するティンパニの打音が追い越していく。その間ずっと、リズムと響きの中に悲しみと深い絶望感が広がっていくが、それと同時に和解的要素の余地も残している。
長く印象に残る作品であり、(聴衆たちは)この夜、息をするのを忘れ言葉を失った。
(Bernhard Wibben ,Rhein-Zeitung,13.5.2008)

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