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つのだたかし(19世紀ギターのこと)
私は指で弾く楽器が好きだ。
楽器はそれぞれ形が違うと音も変わる。
弦が変わるとまた変わる。
それは時代によっても大きさによっても変わる。
400年前のギターがある。
その50年後にはまた違う楽器が出現する。
いやそんなに待たなくても5年もたてばもう新しい楽器が考案され、
流行し、代が替わってしまう。
17世紀から18世紀に宮廷などで使われた5複弦のギターは、
18世紀の終わりに出現した6単弦のギターにとって替わられる。
弦長も長く、共鳴胴をより大きくしたことによって音量も豊かになり
6単弦にしたことによって調弦や楽器の扱いが飛躍的に楽になった。
この新しいギターをその時代の人々は大いに歓迎し、大流行が始まった。
まるで20世紀にLPがCDに代わったような急激なことだったと思える。
今から200年ほど前、19世紀初めにウィーンで活躍した楽器製作家J.G.シュタウファーは
ある時一梃のギターの注文をうけた。
彼によって丁寧に作られたそのギターは,現在ウィーンのシューベルト記念館で、
シューベルトの遺品の一つとして保管されている。
せんくらで演奏するドイツリートは、このシュタウファー作の古いギターで
聴いていただく。
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